新緑のまぶしい5月のとある日。
東京都調布市、緑が多く湧き水も流れる深大寺のそばにある唯一無二のレストラン「Maruta」のシェフ、山口さんの野草採取に同行し、お話しを伺いました。

Marutaは、「Green Wise」という造園の会社を母体にもつレストランです。
Green Wiseは「SLOW GREEN」という言葉を掲げ、環境に負荷のかけない植栽を手掛けたり循環や持続可能性を重要視して事業を展開しており、「Maruta」もその考え方のもとでお店を営んでいらっしゃいます。
お店には「深大寺ガーデン」というエディブルガーデンが併設されていて、そこには除草剤などは使わずにハーブや植物がたくさん育てられており、お客さんと一緒に収穫して調理したり、保存食として加工したり、食事のテーブルにもMarutaの感性を通した料理として姿を変える。
Marutaでは「ローカルファースト」という考え方を大切に、地域の食材を各地の生産者から直接仕入れているそうだ。この日は、私たちのフィールドである八王子市堀之内のほか、奥多摩や町田などスタッフがそれぞれ分かれて週末からの営業日で使う食材を仕入れ、深大寺のお店に集まり仕込みを行っているそうです。

この春から、「Maruta」と「アンドファームユギ」で「Ethical Farming Foraging」という取り組みが始まりました。野菜やハチミツを仕入れるだけの関係性ではなく、継続的な関係のなかでコミュニケーションを取りながら、生産物の提供や活動をともにしていく。今回の里山での野草の採取は、この取り組みの一環です。
普通に暮らしていたら、住宅地のすぐそばにありながらも足を踏み入れることのない里山。かつては、生活に必要なものを得るために人の手が入り、そこに多様な植物や生き物が集まり豊かな生態系を擁していました。しかし、電気やガス、水道というインフラがひかれ、私たちの生活様式が変わっていくことに伴って里山も利用されなくなってきました。
山や畑の持ち主が高齢となり、人の手も入らなくなり、手放せばすぐに開発されて住宅地となる。その結果、自然との関わりが無くなった風景が広がっていきました。そういった時代の流れのなかで、アンドファームユギの農場のある地域は、多摩ニュータウンの開発のさなか、開発の反対運動や積極的な都市農村構想の提案活動など、様々な運動を経て畑や里山といった、かつての由木地域の風景が開発からはずれて奇跡的に残っている地域です。
「Ethcal Farming foraging」は、その残された里山にもう一度、アンドファームユギ、Marutaのそれぞれの立場から手を入れていき、今の時代にあった形で人と自然の関係性を紡ぎなおしていくことを目指しています。

この日は新玉ねぎの受け取りのほか、弊社の非加熱の純粋蜂蜜「greenhoney」の養蜂箱が置いてある里山に野草を採取に出かけました。
里山の入口から少し歩き、ひらけたところに出た。少し地面が湿ったその場所には、カキドオシが群生していました。シソの仲間で、爽やかな香りがする。ドリンクに仕込むのだそうだ。
山口さんは野草の知識も豊富で、里山を歩きながら次々に野草のレクチャーをしてくださいました。


単純に必要な人数分を採取するのではなく、生育状況や日のあたり具合のような植物の周辺環境も考慮しながら、長く伸びた枝を剪定するように、生育に大きな影響が出ないように配慮しながらの作業だという。人間の都合に合わせて素材を調達するのではなく、環境が豊かに保たれていくことに気を配りながら自然の恵みをいただく、そういった姿勢を大切にしているそうです。
野草の解説を聞いていると、だんだんと目の前の風景が違って見えてくるのが新鮮でした。「食」の視点から里山を眺めてみると、あれもここれも食べられるものばかりであることに気づいていくからです。

足元に気をつけながら、藪の中を歩いていくことも。笹をかき分けながら斜面を下っていく場面もあり、先を行く山口さんの進んだところなぞるように進んできました。

里山からの湧き水の流れがあるところでは、セリを採取。太い茎がピンと伸びた姿を見つけた時、「こんなしっかりとしたセリは初めて!」と驚いたのだとか。ここでも、生育状況を確認しながら収穫していきます。


